民法第二百五十四条 共有者間の債権の承継

民法第二百五十四条 共有者間の債権の承継

第二百五十四条 共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。

民法第254条は、共有者の一人が他の共有者に対して持つ債権が、その債権を持つ共有者の特定承継人に対しても行使できる、と定めています。

もう少し詳しく説明すると、Aさんが共有物件の修繕費をBさんに立て替えたとします。
この場合、AさんはBさんに対して、立て替えた修繕費の返還を請求することができます。
そして、Bさんがその持分をCさんに譲渡した場合、AさんはCさんに対して、Bさんに代わって修繕費の返還を請求できる、ということです。

なぜこのような規定があるのか?

  • 債権の安定性: 共有者間の債権が、共有持分の移転によって消滅してしまうことを防ぎ、債権の安定性を確保するためです。
  • 公平性の確保: 共有物に関する費用を負担した者が、その負担を免れることがないようにするためです。

具体的な例

  • 修繕費の請求: Aさんが共有マンションの修繕費を立て替えた場合、Bさんがその持分をCさんに譲渡しても、AさんはCさんに修繕費の返還を請求できます。
  • 使用料の請求: Aさんが共有の土地をBさんに無断で使用させた場合、Bさんがその持分をCさんに譲渡しても、AさんはCさんに使用料を請求できます。

注意点

  • 特定承継人: 特定承継人とは、相続人や譲受人のように、個別に権利義務を承継する者を指します。
  • 債権の種類: この条文でいう「債権」には、共有物の管理費用に関する債権だけでなく、共有者間で取り決められた共有物の使用、管理、分割に関する定めなど、共有権と相分離すべからざる関係を有する合意も含まれます。
  • 対抗力: この条文によって、債権者は、特定承継人に対して、その債権を行使することができますが、特定承継人が善意無過失であった場合には、対抗できない場合があります。

まとめ

民法第254条は、共有者間の債権が、共有持分の移転によって消滅することを防ぎ、債権の安定性を確保するための規定です。
共有物に関するトラブルを避けるためには、この条文の内容を理解しておくことが重要です。

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