民法第二百四十七条 所有権の消滅に伴う他の権利の消滅

民法第二百四十七条 所有権の消滅に伴う他の権利の消滅

第二百四十七条 第二百四十二条から前条までの規定により物の所有権が消滅したときは、その物について存する他の権利も、消滅する。

民法第247条は、ある物の所有権がなくなると、その物に対して持っていた他の権利も同時に消滅するという原則を定めています。

例えば、ある土地の所有権を失えば、その土地に対して持っていた使用権や抵当権なども同時に失われるということです。

条文の趣旨

この条文の趣旨は、所有権が物に対する最も基本的な権利であるという考えに基づいています。所有権がなくなれば、その物に対する支配権を失うため、他の権利も意味をなさなくなるという論理です。

具体的な例

  • 売却:
    • 土地の所有者がその土地を売却した場合、売主は土地の所有権を失います。同時に、その土地に対して持っていた使用権や抵当権なども失われます。
  • 時効取得:
    • 他人の土地を20年間占有し、取得時効によってその土地の所有権を取得した場合、元の所有者は土地の所有権を失うとともに、その土地に対して持っていた賃借権なども失われます。

例外

この条文には、いくつかの例外が考えられます。

  • 契約上の権利:
    • 物の所有権が移転しても、契約に基づく権利がそのまま残る場合があります。例えば、賃貸借契約の場合、賃貸人が物件の所有権を譲渡しても、賃借人の賃借権は原則として存続します。
  • 法定担保権:
    • 物に設定された法定担保権(例:売買代金の未払いを担保とする売買代金債権担保)は、所有権の移転後も一定の条件下で存続する場合があります。

2 前項に規定する場合において、物の所有者が、合成物、混和物又は加工物(以下この項において「合成物等」という。)の単独所有者となったときは、その物について存する他の権利は以後その合成物等について存し、物の所有者が合成物等の共有者となったときは、その物について存する他の権利は以後その持分について存する。

条文の意味

民法第247条第2項は、合成物、混和物、加工物など、複数の物が一体化した場合における、他の権利の帰属について規定しています。

簡単に言うと、物が合成物などになった場合、その物に対する他の権利は、新しい物の所有者に引き継がれるか、またはその所有者の持分に限定されるということです。

条文のポイント

  • 合成物等: 合成物、混和物、加工物の総称です。
  • 単独所有者: 合成物等の全ての所有権を持つ者です。
  • 共有者: 合成物等の所有権を他の者と共同で持つ者です。

条文の趣旨

この条文の趣旨は、物の形態が変わっても、それに付随する権利が消滅してしまうことを防ぐことにあります。
例えば、ある土地に建物が建てられた場合、その土地に対する賃借権は、建物と一体となった状態でも、引き続きその建物に対して有効に存続させるという考えです。

具体的な例

  • 建物の建築:
    • 土地に建物が建てられた場合、その土地に対する賃借権は、建物と一体となった状態でも、引き続きその建物に対して有効に存続します。
  • ワインのブレンド:
    • 異なる種類のワインをブレンドした場合、ブレンドされたワインに対する抵当権は、ブレンドされたワイン全体に対して有効に存続します。

第1項との関係

  • 第1項: 物の所有権が消滅した場合、その物に対する他の権利も消滅するという原則を定めています。
  • 第2項: 物の形態が変化した場合、他の権利がどのように移行するかを具体的に規定しています。

まとめ

民法第247条第2項は、物の形態が変化した場合における、他の権利の扱いを定める重要な規定です。
この条文は、不動産取引や動産の加工など、様々な場面で適用される可能性があります。

続きを見る