民法第二百二十九条 (境界標等の共有の推定)

民法第二百二十九条 (境界標等の共有の推定)

第二百二十九条 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。

民法第229条の解説:境界線上のものの共有

条文の意味

民法第229条は、土地の境界線上に設置された境界標、囲い、障壁、溝、堀といったものは、原則として、その土地の所有者である「相隣者」が共同で所有している(共有)とみなす、という条文です。

簡単に言うと、隣同士の土地の境界線上に何か物が設置されている場合、特に所有者が明記されていなければ、両方の土地の所有者が共同でその物を使っているものと考える、ということです。

条文の解説

  • 境界線上に設けた:土地の境界線、つまり二つの土地の境目にある
  • 境界標、囲障、障壁、溝及び堀:土地の境界を示すものや、土地を区切るものなど
  • 相隣者の共有に属するものと推定する:特に所有者が決まっていない場合、隣接する土地の所有者全員が共同で所有しているとみなす

条文の目的

この条文の目的は、境界線上のものの所有関係を明確にし、隣人間のトラブルを防止することです。

境界線上のものについて、誰が所有者なのかがはっきりしないままでは、いざ問題が発生したときに、どちらが責任を持つのか、といったトラブルに発展する可能性があります。この条文は、そのような事態を避けるために、原則として相隣者が共同で所有していると定めることで、紛争を未然に防ぐことを目的としています。

具体的な事例

  • 境界標: 土地の境界を示す石や杭など
  • 囲障: 塀や柵など
  • 障壁: 壁など
  • 溝: 水路など
  • 堀: 堀など

これらのものが境界線上に設置されている場合、特に所有者が決まっていない限り、隣接する土地の所有者全員が共同で所有しているとみなされます。

注意点

  • 推定であること: この条文は「推定」であり、必ずしも相隣者が共同で所有しているとは限りません。
  • 例外: 契約や過去の経緯など、他の証拠によって、特定の者が単独で所有していることが証明できる場合は、この条文の推定は覆ります。
  • 共有の性質: 相隣者が共同で所有している場合、原則として、その物を使用したり、処分したりする際には、他の共有者の同意を得る必要があります。

まとめ

民法第229条は、境界線上のものの所有関係について、基本的なルールを定めています。
この条文を理解することで、隣人とのトラブルを未然に防ぎ、円滑な関係を築くことができます。

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