民法第二百二十五条 (囲障の設置)

民法第二百二十五条 (囲障の設置)

第二百二十五条 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。

民法第225条の解説:囲障の設置

条文の意味

民法第225条は、隣り合った建物の所有者が、お互いの土地の境界に囲障(いしょう:塀や柵など)を設けることができるという権利を定めています。

簡単に言うと、隣の家と自分の家の間に、お互いの同意のもとで塀などを建てることができる、ということです。

条文の解説

  • 二棟の建物がその所有者を異にし:隣り合う建物が、それぞれ異なる所有者のものである場合
  • かつ、その間に空地があるとき:建物と建物の間に、何も建っていない土地がある場合
  • 各所有者は:それぞれの建物の所有者は
  • 他の所有者と共同の費用で:お互いに費用を分担して
  • その境界に囲障を設けることができる:境界線に塀や柵などの囲いを設けることができる

条文の目的

この条文の目的は、プライバシーの保護安全の確保美観の向上など、隣人間の良好な関係を維持するために、囲障を設置できるようにすることを目的としています。

具体的な事例

  • プライバシーの保護: 道路に面した部分に塀を設けて、プライバシーを守りたい場合
  • 安全の確保: 子供が道路に飛び出すのを防ぐために、フェンスを設置したい場合
  • 美観の向上: 庭を区切るために、生垣を設置したい場合

注意点

  • 費用分担: 囲障の設置費用は、原則として両者が等分しますが、特別な事情がある場合は、異なる割合で分担する場合もあります。
  • 囲障の種類: 囲障の種類は、板塀、竹垣、フェンスなど、様々なものが考えられます。
  • 高さ制限など: 囲障の高さや材質などには、自治体の条例や建物の構造などによって制限がある場合があります。
  • 協議: 囲障の種類、高さ、デザインなどについては、隣人同士でよく話し合い、合意する必要があります。

2 当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。

民法第225条第2項の解説

条文の意味

民法第225条第2項は、隣り合った建物の所有者同士が、囲障の設置について意見が一致しない場合について規定しています。

簡単に言うと、お互いが合意できない場合は、原則として高さ2メートルの板塀か竹垣のようなものを設置しなければならない、ということです。

条文の解説

  • 当事者間に協議が調わないときは:隣人同士で、囲障の設置について話し合っても意見が一致しない場合
  • 前項の囲障は:民法第225条第1項で定められた囲障は
  • 板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって:原則として、板塀や竹垣など、これらに似た材料で作られた囲障でなければならない
  • かつ、高さ二メートルのものでなければならない:囲障の高さは、原則として2メートルまでとする

条文の目的

この条文の目的は、隣人同士の紛争を防止し、社会の秩序を維持することです。

隣人同士が囲障の設置について意見が一致しない場合、いつまでも話し合いが続いたり、裁判に発展したりする可能性があります。この条文は、このような状況を避けるために、一定の基準を設けることで、迅速かつ円滑な解決を図ることを目的としています。

具体的な事例

  • 隣人同士でデザインが合わない:一方が木製のフェンスを希望し、もう一方がコンクリートの塀を希望する場合
  • 高さについて意見が合わない:一方はプライバシー保護のために高い塀を希望し、もう一方は日当たりを確保したいために低い塀を希望する場合

このような場合、この条文に基づいて、高さ2メートルの板塀か竹垣を設置することになります。

注意点

  • 例外: どうしても板塀や竹垣が設置できない特別な事情がある場合は、裁判所が他の種類の囲障を認めることがあります。
  • 自治体の条例: 囲障の高さや材質などには、自治体の条例でさらに細かく定められている場合があります。
  • 変更: 一度設置した囲障でも、両者の合意があれば、種類や高さを変更することができます。

まとめ

民法第225条第2項は、隣人同士で囲障の設置について意見が一致しない場合の、最終的な解決策を示しています。
この条文によって、隣人間の紛争を未然に防ぎ、円滑な関係を維持することができます。

続きを見る