民法第二百十三条の三 分割土地への設備設置

民法第二百十三条の三 分割土地への設備設置

第二百十三条の三 分割によって他の土地に設備を設置しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じたときは、その土地の所有者は、継続的給付を受けるため、他の分割者の所有地のみに設備を設置することができる。この場合においては、前条第五項の規定は、適用しない。

条文の意味と解釈

この条文は、土地の分割によって、ある土地が継続的な給付(例えば、水道、電気、ガスなど)を受けるために、他の土地に設備を設置しなければならない状況が生じた場合について規定しています。

具体的には、土地を分割した結果、新たにできた土地が、既存の設備から離れてしまい、継続的な給付を受けるために、他の分割された土地に新たに設備を設置する必要があるケースを想定しています。

条文のポイント

  • 継続的給付を受ける権利: 土地の所有者は、分割後も継続的な給付を受ける権利を持ちます。
  • 他の土地への設備設置: 継続的な給付を受けるために、他の分割者の所有地に設備を設置することが認められます。
  • 前条第5項の不適用: 通常、他の土地に設備を設置する場合は、その土地に損害を与えた場合に損害賠償の義務が生じますが、この条文の場合に限っては、その規定が適用されません。これは、土地の分割という特殊な状況を考慮した例外規定です。

適用されるケースの例

  • 宅地分譲: 一つの土地を複数の宅地に分割する場合、各宅地に水道管やガス管を敷設するために、他の宅地の一部を使用することが必要になることがあります。
  • 農地の分割: 農地を分割する場合、新たにできた農地が既存の水路から離れてしまい、新たな水路を敷設するために、他の農地の一部を使用することが必要になることがあります。

条文の目的

この条文の目的は、土地の分割によって生じる新たな土地の所有者の権利を保護し、継続的な給付を受けることを可能にすることです。

注意事項

  • 他の土地所有者の権利: 他の土地の所有者の権利を侵害しない範囲内で、設備を設置する必要があります。
  • 協議の必要性: 設備を設置する際には、他の土地の所有者と事前に協議を行い、合意を得ることが望ましいです。
  • 法的な手続き: 必要に応じて、法的な手続きを行う必要がある場合があります。

2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。

民法第213条の3第2項の解説:土地の一部譲渡への準用

条文の意味と解釈

民法第213条の3第2項は、第1項の規定を、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合にも適用すると定めています。

第1項との関係

第1項では、土地の分割によって、新たな土地が継続的な給付を受けるために、他の分割者の所有地に設備を設置しなければならない場合について規定していました。

第2項は、この第1項の規定を、土地の分割だけでなく、土地の一部を譲渡した場合にも適用することを明記しています。つまり、土地の一部分を売却したり、贈与したりした場合にも、譲渡された土地が継続的な給付を受けるために、残りの土地に設備を設置することができるという規定です。

具体的なケース

  • 宅地分譲: 一つの土地から宅地を分譲する場合、分譲された宅地に水道管やガス管を敷設するために、残りの土地に設備を設置することが必要になることがあります。
  • 農地の分割: 農地の一部を売却する場合、売却された農地が既存の水路から離れてしまい、新たな水路を敷設するために、残りの農地の一部を使用することが必要になることがあります。

準用される規定の内容

第2項が準用する第1項の規定の内容としては、以下の点が挙げられます。

  • 継続的給付を受ける権利: 譲渡された土地の所有者は、継続的な給付を受ける権利を持ちます。
  • 他の土地への設備設置: 継続的な給付を受けるために、残りの土地に設備を設置することが認められます。
  • 前条第5項の不適用: 設備を設置することによって、残りの土地に損害が生じても、損害賠償の義務は生じません。

まとめ

民法第213条の3第2項は、土地の分割だけでなく、土地の一部を譲渡した場合にも、新たな土地の所有者が継続的な給付を受けるために、他の土地に設備を設置できるという規定です。
この規定は、土地の利用の効率化を図るとともに、土地の所有者の権利を保護することを目的としています。

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