民法第百六十条 (相続財産に関する時効の完成猶予)

民法第百六十条 (相続財産に関する時効の完成猶予)

第百六十条 相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

条文の意味

この条文は、相続財産について、相続人が確定したり、財産管理人が選任されたり、破産手続きが始まったりした時点から6ヶ月間は、時効が完成しない、つまり権利を行使できる期間が延長されることを定めています。

もう少し詳しく説明すると、

  • 相続財産: 相続によって取得した財産のことです。
  • 相続人が確定: 相続人全員が特定された状態を指します。
  • 管理人が選任: 相続財産の管理を任された人が選ばれた状態を指します。
  • 破産手続開始の決定: 債務者が支払不能となり、裁判所が破産手続きを開始することを決定した状態を指します。

つまり、相続が発生した場合、相続財産の権利関係は複雑になりがちです。この条文は、相続人たちが落ち着いて相続手続きを進められるよう、一定期間、時効の完成を猶予するものです。

この条文の目的

この条文の目的は、相続手続きが複雑化する状況において、相続人たちが不利な立場に立たないよう保護することにあります。相続が発生すると、遺産分割協議や債権・債務の整理など、様々な手続きが必要になります。この条文によって、一定期間、時効が完成しないことで、相続人たちはこれらの手続きを十分に行うことができます。

具体的な例

  • 遺産分割: 相続人が複数いる場合、遺産分割協議に時間がかかることがあります。この条文により、相続人が全員合意に達するまで、遺産分割請求権の時効が中断されます。
  • 債権の回収: 相続人が相続した債権がある場合、債務者との交渉に時間がかかることがあります。この条文により、債権回収の請求権の時効が中断されます。

まとめ

この条文は、相続手続きが複雑化する状況において、相続人たちの権利を守るために重要な役割を果たしています。
一定期間、時効が完成しないことで、相続人たちは冷静に手続きを進めることができます。

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