民法第百四十六条 (時効の利益の放棄)

民法第百四十六条 (時効の利益の放棄)

民法第146条は、時効の利益あらかじめ放棄することできないと定めています。

もう少し詳しく説明すると、例えば、ある契約を結ぶ際に、「もし将来、この契約に関する権利を行使できなくなっても、その権利を放棄します」といった内容の条項をあらかじめ設けることはできないということです。

なぜあらかじめ放棄できないのか?

  • 弱者保護: 契約を結ぶ段階では、まだ将来どうなるかわからないため、不利な状況に追い込まれる可能性があります。そのような状況で、あらかじめ権利を放棄させてしまうと、弱い立場の人々が不当に不利な契約を強いられる可能性があるからです。
  • 時効制度の趣旨: 時効制度は、権利を行使しないまま長期間放置された権利については、その権利を消滅させることで、権利関係を明確にし、社会の安定を図ることを目的としています。あらかじめ時効の利益を放棄させてしまうと、この制度の趣旨が損なわれてしまいます。

いつ放棄できるのか?

  • 時効が完成した後: 時効がすでに完成している状態であれば、その利益を放棄することは可能です。例えば、債務の消滅時効がすでに完成している場合、債務者は「時効によって債務は消滅しましたが、この債務を弁済します」という意思表示をすることができます。

まとめ

民法第146条は、時効の利益は、将来起こるかもしれない不利な状況を予測して、あらかじめ放棄することはできないと定めています。
これは、契約の自由を制限するものではなく、むしろ、弱い立場の人々を保護するためのルールと言えるでしょう。

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