民法第百三十五条 (期限の到来の効果)

民法第百三十五条 (期限の到来の効果)

第百三十五条 法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。

民法第135条の趣旨

民法第135条は、始期付法律行為に関する規定です。始期付法律行為とは、ある法律行為の効力が発生する時期を将来の特定の時点(始期)に定めた法律行為のことを指します。

この条文の趣旨は、法律行為の効力発生時期を明確にすることにあります。始期が到来するまでは、たとえ契約が成立していたとしても、その履行を請求することはできません。つまり、債権者は、始期が到来するまで、債務者に履行を催促することができないということです。

始期付法律行為の例

  • 賃貸借契約: 「平成35年1月1日から賃貸借契約を開始する」という契約。
  • 売買契約: 「来年3月31日に商品を納品する」という契約。

これらの例のように、将来の特定の時点から契約の効果が発生するという契約が、始期付法律行為に当たります。

始期と停止条件の違い

始期とよく混同される概念に「停止条件」があります。

  • 始期: 将来的に必ず到来する事実(例えば、特定の日付)を基準に、法律行為の効力が発生する時期を定める。
  • 停止条件: 将来的に成就するかどうかが不確実な事実を基準に、法律行為の効力が発生するか否かを定める。

始期付法律行為の効力

始期が到来するまでは、契約は有効に成立していますが、その履行を請求することはできません。始期が到来した時点で、初めて履行を請求できるようになります。

期限の利益

始期は、通常、債務者の利益のために定められています。
つまり、債務者は、始期が到来するまでは、履行の義務を負わず、その間は自由に活動できるという利益を得ることができます。

2 法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅する。

民法第135条2項は、終期付法律行為の効力について規定しています。

終期付法律行為とは、ある法律行為の効力が一定の時点(終期)まで存続し、その時点が到来すると効力を失うように定めた法律行為のことを指します。

2項の趣旨

この条文の趣旨は、法律行為の効力期間を明確にすることにあります。始期が到来すると効力が発生し、終期が到来すると効力が消滅するというように、法律行為の効力がいつまで続くのかを明確にすることで、当事者間の権利義務関係を安定させることを目的としています。

終期付法律行為の例

  • 賃貸借契約: 「平成35年12月31日まで賃貸借契約を結ぶ」という契約。
  • 雇用契約: 「令和5年3月31日まで雇用契約を結ぶ」という契約。

これらの例のように、将来の特定の時点まで契約の効果が続くという契約が、終期付法律行為に当たります。

終期と始期の違い

  • 始期: 法律行為の効力が発生する時点
  • 終期: 法律行為の効力が消滅する時点

終期付法律行為の効力

終期が到来すると、法律行為の効力は自動的に消滅します。そのため、当事者は、終期が到来する前に、契約を更新するか、新たな契約を結ぶなどの措置を取らなければ、契約関係は終了することになります。

まとめ

民法第135条2項は、終期付法律行為の効力について規定し、法律行為の効力期間を明確にすることで、当事者間の権利義務関係を安定させることを目的としています。

始期と終期の違いを理解し、契約を結ぶ際には、始期と終期を明確に定めることで、将来発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐことができます。

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