民法第百三十四条 (随意条件)

民法第百三十四条 (随意条件)

第百三十四条 停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。

民法第134条の趣旨

民法第134条は、停止条件付法律行為が、その条件が債務者の意思のみに依存する場合には、その法律行為自体が無効であると定めています。

停止条件付法律行為とは、ある条件が成就するまで、法律行為の効力が発生しないように定めた法律行為のことです。例えば、「Aさんが合格したら、Bさんに車をプレゼントする」という約束がこれに当たります。


債務者の意思のみに係る条件
とは、契約の当事者の一方(債務者)の単なる意思によって、いつでも成就させたり、成就させなかったりできるような、不確実な条件のことを指します。

この条文の趣旨は、法律行為の安定性を図ることです。もし、債務者の勝手な意思によって、契約の効力が左右されてしまうような状況を許容すると、契約の相手方は、いつまで経っても契約の効果を得られないという不確実な状態に置かれることになります。このような不確実な状態は、取引の安全性を害し、社会経済活動に悪影響を与える恐れがあるため、法律はこれを禁止しているのです。

第134条の具体例

  • 例1: 「私が気分が良ければ、あなたに100万円を貸します」という約束。
  • 例2: 「私が暇な時に、あなたと旅行に行きます」という約束。

これらの例は、いずれも、債務者の(この場合、お金を貸す人や旅行に行く人)の単なる意思に条件が委ねられており、第134条に該当するため、無効な法律行為となります。

第134条の注意点

  • 条件の客観的な確定可能性: 条件が、客観的な事実や出来事によって、将来必ず成就するか否かが判断できるものであれば、第134条は適用されません。
  • 債務者の意思以外の要素: 条件の成就が、債務者の意思だけでなく、他の客観的な要素にも左右される場合は、第134条は適用されない可能性があります。

まとめ

民法第134条は、法律行為の安定性を確保するために、債務者の意思のみに依存した不確実な条件を付した法律行為は無効とするという規定です。
契約を結ぶ際には、この条文に注意し、契約内容が有効なものとなるように、条件を明確かつ客観的に定めることが重要です。

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