民法第百三十三条 (不能条件)
民法第百三十三条 (不能条件)
条文解説
民法第133条は、条件付法律行為において、実現不可能な停止条件が付された場合、その法律行為が無効となることを定めています。
第百三十三条 不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。
不能な停止条件とは?
- 実現不可能な条件: 例えば、「雨が降ったら契約を有効とする」という条件で、ある地域では雨がまったく降らない場合、この条件は実現不可能となります。
- 停止条件: 条件が成就するまでは、法律行為の効果が発生しないという条件です。
なぜ無効となるのか?
- 効力の発生が期待できない: 実現不可能な条件が成就することはないため、法律行為の効力が発生する見込みがありません。
- 無意味な契約: 実現不可能な条件を付すことは、契約の本質に反し、無意味な行為とみなされます。
条文の趣旨
- 法律行為の有効性の確保: 実現不可能な条件によって、法律行為が不当に拘束されることを防ぎ、法律行為の有効性を確保することを目的としています。
- 法秩序の維持: 実現不可能な条件を付した契約は、法秩序に反すると考えられるため、無効とすることで法秩序を維持することを目的としています。
民法第133条第2項について
条文解説
民法第133条第2項は、実現不可能な解除条件が付された法律行為について、その効力がどのように扱われるかを定めています。
第百三十三条 2 不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。
具体的にどのようなことを意味しているのか、以下に詳しく解説します。
不能な解除条件とは?
- 実現不可能な条件: 例えば、「月へ一人で行けるようになったら、この契約を解除する」という条件は、現状の科学技術では実現不可能であり、不能な解除条件に該当します。
- 解除条件: 条件が成就すると、法律行為がなくなってしまうという条件です。
なぜ「無条件とする」のか?
- 効力喪失の回避: 実現不可能な解除条件は、そもそも成就しないため、法律行為が効力を失うことはありません。
- 契約の安定性: 法律行為の効力が常に不確実な状態となることを防ぎ、契約の安定性を図るためです。
例
- AさんがBさんに、「Cさんが月へ一人で行けるようになったら、この契約を解除する」という条件付きで商品を売買したとします。
- この場合、Cさんが月へ一人で行けるようになることは現実的に不可能であるため、この契約は「無条件」となり、通常の売買契約と同様の効果が生じます。
まとめ
民法第133条第2項は、実現不可能な解除条件が付された場合、その条件は無視され、法律行為は無条件とみなされることを定めています。
これは、法律行為の効力を安定させ、当事者間の紛争を防止するための規定です。