民法第百二十六条 (取消権の期間の制限)

民法第百二十六条 (取消権の期間の制限)

民法第126条:取消権の時効について

条文解説

民法第126条は、取消権の時効に関する規定です。取消権とは、例えば、未成年者の契約や詐欺によって行われた契約など、法律上取り消すことができる行為について、その効力を遡って消滅させることができる権利のことです。

この条文は、この取消権を行使できる期間を定めています。つまり、いつまでも取消しを主張できるわけではなく、一定の期間内に手続きを取らなければ、その権利を失ってしまうということです。

条文の意味

  1. 追認をすることができる時から5年間:

    • 追認: 契約を有効と認めること。
    • 追認をすることができる時: 例えば、未成年者が成人した時、詐欺に気づいた時など、契約を取り消す理由がなくなった時を指します。
    • 5年間: この期間内に取消しの訴えなどを起こさなければ、取消権は消滅します。
  2. 行為の時から20年:

    • 行為の時: 契約を結んだ時など、行為を行った時点を指します。
    • 20年: 契約を結んでから20年が経過すれば、たとえ追認できる状況になろうとも、取消権は消滅します。

なぜ時効が設けられているのか?

  • 取引の安定性: 契約がいつまでも不安定な状態では、経済活動が円滑に進みません。
  • 証拠の保全: 長い時間が経過すると、証拠が失われたり、状況が変化して、真実は不明になる可能性があります。

  • 未成年者が15歳でスマートフォンを購入: 成人した20歳のときに、その契約を取り消そうとしても、すでに5年が経過しているため、原則として取消権は消滅しています。
  • 詐欺に遭って契約を結んだ場合: 詐欺に気づいたのが5年前で、今になって初めて取り消しを主張しようとしても、時効によって権利を失っている可能性があります。

注意点

  • 個別事案の判断: 時効の起算点や期間については、個々のケースによって判断が異なります。
  • 中断: 時効の進行は、取り消しの訴えを起こすなど、一定の行為によって中断されることがあります。

まとめ

民法第126条は、取消権の行使には期限があることを定めています。
契約を取り消したい場合は、時効を意識して、早めに専門家に相談することが重要です。

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