民法第二十三条 住所が知れない場合には、居所を住所とみなす
民法第二十三条 住所が知れない場合には、居所を住所とみなす
第二十三条の解説
住所が分からない場合の扱い
「第二十三条 住所が知れない場合には、居所を住所とみなす」 という条文は、民法における住所に関する規定の一つです。この条文は、ある人の住所が特定できない場合に、その人の居所を住所として扱うというルールを定めています。
居所とは?
- 住所が特定できない場合に代わる概念: 住所は、その人の生活の本拠を指しますが、様々な理由で住所が特定できないことがあります。そのような場合に、その人が実際に滞在している場所を「居所」と呼びます。
- 一時的な滞在場所: 居所は、必ずしも住所と一致するとは限りません。例えば、旅行中のホテルや、出張先の会社など、一時的な滞在場所も居所に含まれます。
住所が知れない場合の意義
- 法律行為の遂行: 住所が分からない場合でも、法律行為を進める必要があることがあります。この条文は、そのような場合に、居所を住所の代わりとして扱い、法律行為を円滑に進めることを目的としています。
- 送達の基準: 裁判所からの書類の送達など、重要な書類の送達先が不明な場合、居所に送達することで、当人に通知が行き届くようにする仕組みです。
この条文は、住所が特定できないという状況に対応するための規定です。
住所が分からない場合でも、居所を住所とみなすことで、法律関係を円滑に進めることができるようにしています。
民法第23条第2項の解説
条文の意味
「2 日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所をその者の住所とみなす。ただし、準拠法を定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない。」
この条文は、日本に住所を持たない人、つまり日本に生活の本拠地を置いていない人の住所について規定しています。
条文のポイント
- 日本に住所がない場合: 日本国民であっても、外国に住所を有している場合や、無国籍者であっても、日本に居所がある限り、その居所を日本の法律上での住所とみなします。
- 居所を住所とみなす理由: 日本で何らかの法律行為を行う場合や、日本の裁判に関わる場合などに、住所が必要となります。この条文は、日本に住所を持たない人でも、日本の法律関係に関わる場合に、住所を特定できるようにするための規定です。
- 例外: ただし、他の法律(準拠法)で、その人の属する法律(住所地法)によって住所を定めるべきと定められている場合は、この条文の規定は適用されません。
具体例
- 海外在住の日本人: 日本に家を所有し、時々日本に滞在する日本人は、日本の居所を住所とみなされる可能性があります。
- 外国に本拠を置く企業の日本支店: 企業の本店が外国にある場合でも、日本に支店がある場合は、その支店の所在地を日本の法律上での住所とみなされることがあります。
この条文の意義
- 法の適用範囲の明確化: 日本に住所を持たない人に対しても、日本の法律を適用する範囲を明確にすることで、法の安定性を図ります。
- 国際的な取引の円滑化: 外国人と日本人の間の取引や、外国企業と日本企業の間の取引において、住所に関する紛争を防止する役割を果たします。
準拠法とは
準拠法とは、ある法律関係にどの国の法を適用するかを定める法律のことです。
例えば、国際的な契約の場合、契約書にどの国の法を適用するかという条項が記載されることがあります。
この条項で定められた法律が準拠法となります。
まとめ
民法第23条第2項は、日本に住所を持たない人についても、日本の法律上での住所を定めることで、法の適用範囲を明確にし、国際的な取引の円滑化に貢献しています。
ただし、他の法律で特に定めがある場合は、この条文の規定が適用されない場合があります。