民法第二百五十三条 共有物の費用負担
民法第二百五十三条 共有物の費用負担
第二百五十三条 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
民法第253条は、共有物に関する費用を、各共有者がその持分に応じて負担すると定めています。
具体的に言うと、共有している建物であれば、その建物の修繕費や管理費、共有している土地であれば、その土地の固定資産税などを、各共有者が自分の持分の割合に応じて支払う必要があるということです。
なぜ各共有者が費用を負担しなければならないのか?
- 公平性の原則: 共有物は、全ての共有者のものです。そのため、その維持や管理にかかる費用は、各共有者が公平に分担するべきです。
- 共有関係の維持: 各共有者が費用を負担することで、共有物の維持管理が円滑に行われ、共有関係が長く続くことができます。
具体的な例
- 共有建物の修繕: 共有のマンションの屋根が壊れた場合、全戸で修繕費用を分担する。
- 共有地の固定資産税: 共有の土地にかけられている固定資産税を、各共有者が自分の持分の割合に応じて支払う。
注意点
- 費用負担の割合: 費用負担の割合は、原則として、各共有者の持分の割合と一致しますが、共有者間の合意によって、異なる割合で負担することも可能です。
- 特別な事情: 共有物の一部を特に多く利用している共有者などがいる場合は、その利用状況に応じて、費用負担の割合を変更することができる場合があります。
まとめ
民法第253条は、共有物の維持管理にかかる費用は、原則として、各共有者がその持分に応じて負担すべきであると定めています。
これは、共有関係を円滑に進めるために非常に重要な規定です。
2 共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。
民法第253条第2項は、共有物に関する費用負担について、より具体的な内容を定めています。
具体的に言うと、ある共有者が、共有物の維持管理に必要な費用を1年以内にかかわらず支払わない場合、他の共有者は、その怠った共有者の持分を、相当の償金を支払うことで取得できる、という内容です。
なぜこのような規定があるのか?
- 共有関係の維持: 共有物に関する費用を負担しない共有者がいると、他の共有者の負担が増えてしまい、結果的に共有関係が維持できなくなる可能性があります。
- 権利の行使: 費用を支払わない共有者に対して、他の共有者が何らかの措置を取れるようにすることで、権利を行使できるようにしています。
具体的な例
- 共有建物の修繕: ある共有者が、マンションの修繕費用を1年以上支払わない場合、他の共有者は、その共有者の持分を買い取ることで、その負担から解放されることができます。
注意点
- 相当の償金: 「相当の償金」とは、その共有者の持分の価額に相当する金額を指します。
- 1年以内: 費用を支払わない期間は、1年以内と定められています。
- 他の共有者全員の同意: この条項を行使するためには、必ずしも他の全ての共有者の同意が必要とは限りません。法令や共有者間の合意によって、異なる取り決めをしている場合もあります。
まとめ
民法第253条第2項は、共有物に関する費用負担を怠る共有者に対して、他の共有者がその持分を取得できるという、いわば「強制執行」のような規定です。
これは、共有関係を円滑に進めるために、非常に重要な規定の一つです。