民法第二百二十条 (排水のための低地の通水)

民法第二百二十条 (排水のための低地の通水)

第二百二十条 高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。

民法第220条の解説:高地の所有者の排水権

条文の意味

民法第220条は、高地の所有者が、自分の土地が水に浸かってしまった場合や、生活や仕事で出た余分な水を排出したい場合に、低い土地を経由して水を流すことができるという権利を定めています。ただし、この権利を行使する際には、低い土地への被害を最小限に抑えるように努めなければなりません。

条文の解説

  • 高地の所有者:標高が高い土地の所有者
  • 浸水:自分の土地が水で満たされること
  • 自家用若しくは農工業用の余水:生活用水や工場などから排出される余分な水
  • 公の水流又は下水道:川や下水道など、公共の排水路
  • 低地:高地よりも低い土地
  • 損害が最も少ない場所及び方法:低い土地への被害が最小限になるような場所や方法を選ぶ必要がある

条文の目的

この条文の目的は、高地の所有者の正当な利益を保護するとともに、低い土地の所有者の権利も尊重することです。高地の所有者が、自由に水を排出できなければ、生活や経済活動に支障が生じる可能性があります。一方で、低い土地に無制限に水を流せば、浸水などの被害が発生する恐れがあります。この条文は、両者の利益をバランスさせるためのものです。

具体的な事例

  • 田んぼの排水:雨が降って田んぼが水没した場合、近くの川まで水を流すことができる。
  • 工場からの排水:工場で出た余分な水を、近くの河川に排出することができる。

注意点

  • 低地への影響:水を流すことで、低い土地が浸水したり、土壌が汚染されたりする可能性があります。
  • 行政の許可:場合によっては、行政の許可が必要になることがあります。
  • 損害賠償:低い土地に損害を与えた場合、損害賠償責任が発生する可能性があります。

まとめ

民法第220条は、高地の所有者が、自分の土地の水を排出する権利を認めていますが、その権利には制限があります。
低い土地への影響を最小限に抑えるという義務をしっかりと果たす必要があります。

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