民法第二百十六条 (水流に関する工作物の修繕等)

民法第二百十六条 (水流に関する工作物の修繕等)

第二百十六条 他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及び、又は及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる。

民法第216条の解説:工作物の修繕等請求権

条文の意味と解釈

民法第216条は、他人の土地に設置された貯水、排水、引水のための工作物(ダム、水路など)が破損したり、つまりが詰まったりして、自分の土地に損害が発生したり、発生する恐れがある場合、その土地の所有者は、その工作物を設置した土地の所有者に対して、工作物の修繕や障害の除去を請求できるという内容を定めています。

具体的にどのような状況か

  • 貯水、排水、引水のための工作物: 人工的に作られた水に関する施設を指します。
  • 破壊又は閉塞: 工作物が破損したり、水の流れが妨げられたりすることです。
  • 損害: 土地の浸水、乾燥、汚染など、土地の利用価値が低下するような状態を指します。
  • 予防工事: 将来的に損害が発生するのを防ぐための工事です。

条文の目的

この条文の目的は、他人の土地の工作物が原因で自分の土地に損害が生じることを防ぎ、土地の利用を円滑にすることです。

具体的な事例

  • ダムの決壊: 上流にあるダムが決壊し、下流の土地が浸水する恐れがある場合。
  • 水路のつまり: 水路が土砂などで詰まり、自分の土地への灌漑が妨げられる場合。

条文のポイント

  • 損害の発生または発生のおそれ: 実際の損害が発生していなくても、損害が発生する恐れがある場合も、この条文を適用できます。
  • 修繕または障害の除去: 工作物の破損部分の修理や、つまりを解消する作業を請求できます。
  • 予防工事: 必要に応じて、将来の損害を防ぐための工事も請求できます。

その他

  • 費用負担: 通常、修繕や予防工事の費用は、工作物を設置した土地の所有者が負担します。
  • 協議: 相手方と協議の上、解決を図ることが望ましいです。
  • 裁判: 協議がまとまらない場合は、裁判で解決することも可能です。

まとめ

民法第216条は、他人の土地の工作物によって自分の土地に損害が生じる可能性がある場合、損害の発生を防止するための措置を請求できるという規定です。
この条文は、土地の利用に関するトラブルを未然に防ぎ、円滑な関係を築くために重要な役割を果たしています。

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