民法第二百十五条 (水流の障害の除去)

民法第二百十五条 (水流の障害の除去)

第二百十五条 水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞そくしたときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる。

民法第215条解説:水流の障害除去義務

条文の意味と解釈

民法第215条は、自然災害など不可抗力によって低地の水の流れが妨げられた場合、高地の土地の所有者が、自らの費用でその障害を除去する義務があることを定めています。

具体的にどのような状況か

  • 水流の閉塞: 大雨や地震などにより、川や水路が土砂などで塞がれ、水が流れなくなってしまう状況を指します。
  • 低地: 水が流れ込もうとする場所、つまり水害を受けやすい低い土地のことです。
  • 高地の所有者: 閉塞によって水が滞留し、被害を受ける可能性のある高地の土地の所有者。
  • 必要な工事: 水の流れを回復させるために必要な、堤防の修復や土砂の撤去などの工事のことです。

条文の目的

この条文の目的は、自然災害などによって生じた水害を防止し、社会全体の利益に貢献することです。高地の土地の所有者は、自分の土地だけでなく、下流域の土地の安全も考慮して、水害対策を行う義務を負うとされています。

具体的な事例

  • 土砂崩れ: 土砂崩れによって川がせき止められ、上流域の水が滞留する状況。
  • 洪水: 大雨により川が氾濫し、堤防が決壊する状況。

条文のポイント

  • 自らの費用で: 高地の土地の所有者は、工事費用を自己負担する必要があります。
  • 避けることのできない事変: 自然災害だけでなく、予見できない突発的な事象も含まれます。
  • 必要な工事: 水の流れを回復させるために必要な範囲の工事が対象となります。

その他

  • 費用負担の例外: 別段の慣習がある場合は、その慣習に従うこともあります(民法第216条)。
  • 行政との連携: 大規模な災害の場合は、行政機関と連携して復旧作業を行う必要があります。

まとめ

民法第215条は、自然災害などによって水害が発生した場合、高地の土地の所有者が、水害の拡大を防ぐために積極的に行動することを義務付けています。
この条文は、水害対策の重要性を示すものであり、社会全体の安全確保に貢献しています。

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