民法第二百十三条 分割による袋地と通行権

民法第二百十三条 分割による袋地と通行権

第二百十三条 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。

条文の意味と解釈

民法第213条は、一つの土地が分割され、その結果、公道に通じない土地(袋地)が生じた場合、その土地の所有者は、他の分割された土地を通って公道に出る権利(通行権)を有すると定めています。
そして、この場合、通行によって生じた損害に対する償金を支払う必要がないという特例を認めています。

なぜこの条文が必要なのか?

  • 公平性の確保: 一つの土地が分割された結果、意図せず袋地が生じる場合があります。このような場合、袋地の所有者が公道にアクセスできないのは不公平であるため、通行権を認めることで、土地の利用を保障する必要があります。
  • 土地利用の促進: 分割された土地の利用を促進するためには、袋地が公道にアクセスできることが重要です。この条文は、土地の利用を円滑にすることを目的としています。

償金免除の理由

  • 分割による責任: 袋地が生じたのは、土地の分割という行為によってであり、通行権を行使する側の責任ではないため、償金を支払う必要がないとされています。
  • 土地の利用促進: 償金が発生すると、通行権の行使が阻害される可能性があります。これを防ぎ、土地の利用を促進するために、償金免除の規定が設けられています。

適用範囲

  • 分割による袋地: 土地が分割された結果、新たに袋地が生じた場合に限られます。
  • 譲渡による袋地: 土地の一部を譲渡した結果、袋地が生じた場合も、この条文が準用されます。

2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。

民法第213条第2項の解説:土地の一部譲渡と通行権

条文の意味と解釈

民法第213条第2項は、土地の一部を譲渡した場合にも、第1項の規定が準用されると定めています。

第1項で規定されているのは、土地の分割によって公道に通じない土地(袋地)が生じた場合、その土地の所有者は、他の分割された土地を通って公道に出る権利(通行権)を有し、かつ、通行によって生じた損害に対する償金を支払う必要がないという内容でした。

第2項は、この規定を、土地の分割だけでなく、土地の一部を譲渡した場合にも適用することを明記しています。
つまり、土地の一部を譲渡した結果、残りの土地が公道に通じなくなった場合も、その土地の所有者は、譲渡された土地を通って公道に出る権利を有し、償金を支払う必要がないということです。

適用されるケースの例

  • 宅地造成: 広大な土地を宅地として分譲する場合、分譲された宅地の一部が公道に通じなくなることがあります。
  • 相続: 相続によって土地が分割され、その結果、相続人が取得した土地の一部が公道に通じなくなることがあります。

準用される内容

第2項が第1項を準用するということは、以下の内容が、土地の一部を譲渡した場合にも同様に適用されるということです。

  • 通行権の発生: 公道に通じなくなった土地の所有者は、他の分割された土地(譲渡された土地)を通って公道に出る権利を有する。
  • 償金免除: 通行によって生じた損害に対する償金を支払う必要がない。


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