民法第二百十二条 通行権行使に伴う損害賠償

民法第二百十二条 通行権行使に伴う損害賠償

第二百十二条 第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。

条文の意味と解釈

民法第212条は、通行権を行使する者は、その通行によって他の土地に損害を与えた場合、その損害に対する償金を支払う義務があると定めています。これは、通行権を行使する際に、他の土地の所有者の権利を尊重し、損害を最小限に抑えるという原則に基づいています。

損害賠償の対象となる損害

  • 土地の物理的な損害: 通行によって、土地の表面が損傷したり、建物や樹木が倒れたりするなど、物理的な損害が生じた場合。
  • 土地の利用上の損害: 通行によって、土地の利用が制限されたり、不便になったりするなど、土地の利用価値が低下した場合。

損害賠償の特則

  • 通路の開設による損害: 通路の開設によって生じた損害については、一括して償金を支払う必要があります。
  • その他の損害: 通路の開設以外の損害については、原則として1年ごとに償金を支払うことができます。

損害賠償額の算定

損害賠償額は、個々のケースによって異なりますが、一般的には、以下の要素を考慮して算定されます。

  • 損害の種類と程度: 物的な損害か、利用上の損害か、損害の程度はどの程度か。
  • 損害発生前の状態: 損害が発生する前の状態を復元するために必要な費用。
  • 逸失利益: 損害によって失われた利益。

まとめ

民法第212条は、通行権を行使する者が、その権利を行使することによって生じた損害に対して責任を負うことを明確にしています。
通行権を行使する際には、この規定を踏まえ、他の土地への影響を最小限に抑えるよう努める必要があります。

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