民法第二百十一条 通行権行使時の配慮義務
民法第二百十一条 通行権行使時の配慮義務
第二百十一条 前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
条文の意味と解釈
民法第211条は、通行権を行使する場合、その場所や方法について、通行権を有する者にとって必要であり、かつ、他の土地に与える損害が最も少ないものを選ばなければならないと定めています。
これは、通行権を認める一方で、通行権を行使することで、他の土地の所有者に不利益が生じる可能性があることを考慮し、その損害を最小限に抑えるための配慮義務を規定したものです。
なぜこの条文が必要なのか?
- 他の土地所有者の権利保護: 通行権を行使することで、他の土地の利用が制限されたり、損害を受けたりすることがあります。この条文は、このような損害を最小限に抑え、他の土地所有者の権利を保護することを目的としています。
- 円滑な土地利用: 通行権の行使によってトラブルが発生すると、土地の利用が円滑に進まなくなります。この条文は、トラブルを防止し、円滑な土地利用を促進することを目的としています。
通行権行使時の具体的な配慮事項
- 通行場所: 他の土地への影響が最小限となる場所を選ぶ。
- 通行方法: 騒音や振動を最小限に抑えるなど、他の土地への迷惑を最小限にする方法を選ぶ。
- 通行時間: 他の土地の利用に支障が出ない時間帯を選ぶ。
2 前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。
民法第211条の補足:通路の開設について
条文の解釈
民法第211条第2項は、通行権を有する者が、必要に応じて、通行のための通路を開設できると規定しています。
通路の開設の必要性
- 通行の確保: 公道に至るために、新たな通路が必要な場合。
- 通行の円滑化: 既存の通路が狭隘であったり、状態が悪く、通行に支障がある場合。
通路開設の際の注意点
- 必要最小限の範囲: 通行のために必要な最小限の範囲で開設しなければなりません。
- 他の土地への損害賠償: 通路の開設によって他の土地に損害を与えた場合は、損害賠償の責任を負うことがあります。
- 協議義務: 通路の開設にあたっては、原則として、他の土地の所有者と協議を行う必要があります。
まとめ
この条文は、通行権を有する者が、自らの権利を行使するために必要な措置を講じることができることを認めています。
ただし、他の土地の所有者の権利を過度に侵害しないように、必要最小限の範囲で、かつ、他の土地への損害を最小限に抑えるよう配慮する必要があります。