第三節 占有権の消滅 民法第二百三条 (占有権の消滅事由)

第三節 占有権の消滅 民法第二百三条 (占有権の消滅事由)

第二百三条 占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。

民法第二百三条の解説

概要

民法第二百三条は、占有権の消滅事由について定めています。
つまり、ある物が自分のものだと主張し、実際にその物を支配している「占有」という状態が、どのような場合に終わってしまうのか、ということを規定しているのです。

具体的な意味

  • 占有権:ある物が自分のものだと主張し、実際にその物を支配しているという権利です。
  • 占有の意思を放棄:その物を自分のものだと主張する意思を放棄した場合、占有権はなくなります。例えば、「もうこの土地は必要ないから、誰かに使ってほしい」と表明した場合などが考えられます。
  • 占有物の所持を失う:その物を実際に支配できなくなった場合、占有権はなくなります。例えば、盗まれたり、取り上げられたりした場合などが考えられます。
  • 占有回収の訴えを提起したとき:占有を奪われた場合に、その物を返してもらうために訴訟を起こした場合には、占有権は消滅しません。つまり、訴訟中は、まだ占有権を持っているとみなされます。

なぜ占有権が消滅するのか

  • 占有の意思:占有権は、ある物を自分のものだと主張する「意思」と、実際にその物を支配しているという「事実」が合わさって成立します。そのため、このどちらかがなくなると、占有権もなくなります。
  • 占有の継続性:占有は、継続的にその物を支配している状態を指します。そのため、一度占有物が手から離れてしまうと、占有権は失われるのが一般的です。

占有回収の訴えを提起した場合の例外

  • 占有権の維持:占有を奪われた場合でも、すぐに諦めることなく、裁判で自分の権利を主張することができます。この期間中は、まだ占有権を持っているとみなされるため、占有物を返してもらえる可能性が残されます。

まとめ

民法第二百三条は、占有権がどのようにして消滅するのかを定めることで、占有に関する法律関係を明確にすることを目的としています。
もし、あなたの占有が妨害されたり、占有物を失ったりした場合、この条文の内容を理解しておくことは、あなたの権利を守る上で役立つでしょう。

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