民法第百九十三条 (盗品又は遺失物の回復)

民法第百九十三条 (盗品又は遺失物の回復)

第百九十三条 前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

民法第193条解説:盗品・遺失物の回復請求

条文の意味

民法第193条は、前条(第192条)で規定された即時取得の例外を定めています。
つまり、第192条の要件を満たして動産を取得したとしても、その動産が盗品遺失物であった場合は、真の所有者は、一定の期間内に占有者に対してその物の返還を請求できるというものです。

より具体的に言うと、例えば、あなたは中古品店で購入した絵画を自宅に飾りました。
しかし、その絵画が実は盗まれたものだった場合、真の所有者は、あなたからその絵画を取り戻すことができる可能性があるということです。

条文の目的

この条文の目的は、真の所有者の権利保護にあります。盗品や遺失物は、本来、その所有者に帰属するものです。
そのため、悪意のない第三者がその物を取得した場合であっても、真の所有者の権利を完全に否定してしまうことは、公平ではありません。
そこで、この条文では、真の所有者に一定期間の回復請求権を認めることで、その権利を保護しています。

条文の解釈と注意点

  • 盗品・遺失物: 盗難や遺失によって所有者の意思に反して所在が不明となった物を指します。
  • 回復請求期間: 盗難又は遺失の時から2年間です。この期間内に請求しなければ、回復請求権は消滅します。
  • 即時取得との関係: 第192条の即時取得は、あくまで盗品や遺失物には適用されません。
  • 善意の取得者: 善意の取得者であっても、回復請求を受ける可能性があります。

具体的な事例

  • 中古品店で購入した絵画: 前述のように、中古品店で購入した絵画が盗品だった場合、真の所有者は、あなたに対して2年以内に絵画の返還を請求できます。
  • 道端で見つけた財布: 道端で見つけた財布を拾ってそのまま使った場合、その財布の持ち主は、あなたに対して2年以内に財布の返還を請求できます。

まとめ

民法第193条は、即時取得の例外として、盗品や遺失物については、真の所有者が一定期間内にその物の返還を請求できることを定めています。
この条文は、盗難被害者や遺失物を失くした人の権利保護に重要な役割を果たしています。

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