民法第百八十五条 (占有の性質の変更)

民法第百八十五条 (占有の性質の変更)

第百八十五条 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。

民法第185条の解説:占有の性質の変更

条文の意味

民法第185条は、占有の性質がどのように変化するかを規定しています。

簡単に言うと、ある人が物を持っている場合、その人がその物を「自分のもの」として持っているのか、それとも「他人のものを預かっているだけ」のように、その占有には様々な性質があります。
この条文は、この占有の性質がどのように変化するかを定めているのです。

条文のポイント

  • 権原の性質: そもそも、なぜその人がその物を占有しているのかという「権原」によって、占有の性質が決まります。例えば、借りているものなら「所有の意思」はないと判断されることが多いです。
  • 所有の意思表示: もし、権原上は「所有の意思」がないと判断されるような状態でも、その人が「私はこの物を自分のものとして持っている」と意思表示すれば、占有の性質が変わる可能性があります。
  • 新たな権原: または、別の理由(新たな権原)によって、再びその物を「自分のもの」として占有し始めれば、占有の性質が変化します。

  • 賃貸住宅: AさんがBさんのマンションを借りています。この場合、Aさんの占有は「所有の意思」がないと判断されます。しかし、Aさんが「このマンションはいつか買いたい」と思い、その意思を明確に示し、実際に購入に向けて動き出したとすれば、Aさんの占有の性質は「所有の意思」があるものへと変化する可能性があります。

この条文の意義

  • 占有の柔軟性: 占有の性質は、状況の変化や本人の意思によって変化することがあり、占有という制度に柔軟性を与えています。
  • 時効取得への影響: 占有の性質は、取得時効の成立に大きく影響します。例えば、「所有の意思」を持って占有している場合、時効取得の可能性が高まります。

まとめ

民法第185条は、占有の性質がどのように変化するかを規定することで、占有に関する様々な問題を解決するための基礎となっています。
この条文は、特に、占有に基づく権利(例えば、所有権の取得)を主張する場合に重要な意味を持ちます。

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