民法第百十三条 (無権代理)
民法第百十三条 (無権代理)
第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
民法第113条は、無権代理と呼ばれる行為について規定しています。
無権代理とは?
- 代理権のない者が、あたかも代理人のように振る舞い、契約を結ぶことを指します。
- 例えば、AさんがBさんの代理人としてCさんと契約を結んだ場合、AさんにBさんを代理する権限(代理権)がなければ、これは無権代理となります。
この条文の意味
- 原則として無効: 無権代理によって結ばれた契約は、原則として、本人(この例ではBさん)に対して有効な効力を生じません。
- 追認: ただし、本人(Bさん)がその契約を「追認」すれば、その契約は最初から有効になったものとみなされます。
追認とは?
- 無権代理によって結ばれた契約を、後から有効にすることを指します。
- 本人が、無権代理の事実を知った上で、その契約の内容を承諾し、その契約に基づいて履行することを表明する行為です。
なぜ追認が必要なのか?
- 本人の意思尊重: 契約は、本人の意思に基づいて有効となるべきという考えに基づいています。
- 法律関係の安定性: 無権代理によって結ばれた契約が、本人の意思に反して有効になってしまうことを防ぐためです。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
民法第113条第2項は、無権代理による契約の追認や拒絶について、その通知の相手方と、その効力について定めています。
具体的に言うと、
- 通知の相手方: 無権代理によって契約を結んだ相手方に対して、追認または拒絶の意思表示をしなければなりません。
- 対抗力: 相手方に対して通知しなければ、その相手方に対して追認や拒絶の効力を主張できません。
- 例外: 相手方が、すでに追認や拒絶の事実を知っている場合は、通知の必要はありません。
なぜこの条文があるのか?
- 相手方の保護: 無権代理によって契約を結んだ相手方が、契約の有効性について不確かな状態が長く続くことを防ぎ、法律関係の安定性を図るためです。
- 意思表示の明確化: 本人の意思表示を明確にし、相手方がその意思を正確に把握できるようにするためです。
具体的な例
- AさんがBさんの代理人としてCさんと契約を結びましたが、Aさんに代理権はありませんでした。この場合、BさんがCさんに対して「私はその契約を追認します」と通知しなければ、Cさんに対して追認の効力を主張できません。
まとめ
無権代理による契約の追認や拒絶は、相手方に対してその意思表示をすることで、初めてその効力が生じます。
これは、相手方の権利を保護し、法律関係の安定性を図るために重要な規定です。