民法第八十八条 物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする

民法第八十八条 物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする

民法第88条 天然果実の解説

(天然果実及び法定果実)

民法第88条は、天然果実という概念を定めた条文です。これは、土地や動植物などから自然に生み出される産出物を指し、民法第87条で解説した「従物」とは異なる概念です。

天然果実とは?

この条文によると、天然果実とは、「物の用法に従い収取する産出物」と定義されています。

  • 物の用法: その物が本来持つ機能や目的のことです。
  • 収取: 産出物を採取したり、切り取ったりすることです。


具体例

  • 果樹から採れる果物: りんご、みかん、ぶどうなど
  • 家畜から得られる乳製品: 牛乳、チーズなど
  • 土地から産出される鉱物: 石炭、鉄鉱石など
  • 森林から得られる木材: 杉、檜など

天然果実の特徴

  • 自然発生: 人為的な加工や処理ではなく、自然の力で生み出されます。
  • 元物から分離可能: 元物(土地、動植物など)から分離して取得できます。
  • 繰り返し取得可能: 適切な管理の下では、繰り返し取得が可能です。

天然果実の重要性

  • 所有権の帰属: 天然果実は、原則として元物の所有者に帰属します。
  • 相続: 天然果実は、元物とともに相続の対象となります。
  • 担保: 天然果実は、元物に設定された担保の対象となることがあります。

民法第88条は、天然果物の概念を規定することで、不動産や動産に関する様々な法律関係を明確にする役割を果たしています。
天然果実は、農業、林業、鉱業など、様々な分野で重要な経済的価値を持ち、法律問題を考える上で不可欠な概念です。

民法第88条第2項の解説:法定果実について

法定果実とは?

民法第88条第2項は、法定果実を「物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物」と定義しています。

天然果実が、土地や動植物から自然に生み出される産出物であるのに対し、法定果実は、ある物の使用に対する対価として得られるものです。

法定果実の例

  • 地代: 土地を使用することに対する対価
  • 家賃: 建物を使用することに対する対価
  • 利息: 金銭を貸すことによって得られる対価
  • 使用料: 特許権や著作権などの無体財産を使用することに対する対価

天然果実との違い

区分 天然果実 法定果実
生じる原因       物の自然な機能   物の使用に対する対価
性質 物質的なもの   金銭や有価証券など
所有権の帰属  原則として元物の所有者に帰属     原則として法定果実を受取る権利がある者に          帰属

法定果実の重要性

  • 契約関係: 賃貸借契約や借用契約など、様々な契約において法定果実が問題となります。
  • 債権の発生: 法定果実を受取る権利は、債権として保護されます。
  • 相続: 法定果実は、相続の対象となります。

まとめ

法定果実は、物の使用に対する対価として得られるものであり、天然果実とは異なる概念です。
法定果実は、民法上の様々な問題、特に債権関係や契約関係において重要な役割を果たしています。

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