民法第二十一条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない

民法第二十一条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない

第二十一条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

民法第21条の解説

簡単に言うと

民法第21条は、制限行為能力者(未成年者など)が、わざと自分の年齢や判断能力を偽って相手を騙し、契約などを結んだ場合、その契約を取り消すことができなくなるというルールを定めています。

詳細な解説

  • 制限行為能力者の詐術: 未成年者が「自分はもう大人だ」と嘘をついたり、判断能力がないことを隠したりするなど、相手を騙す行為を指します。
  • 行為の取消し不可: 詐術を使った場合は、たとえ未成年者であっても、契約を自分の都合で取り消すことはできません。

なぜこの規定があるのか

  • 取引の安全: 相手方が制限行為能力者だと知っていたら、契約を結ばなかった可能性もあります。そのため、制限行為能力者が悪意を持って契約を結んだ場合は、相手方を保護する必要があります。
  • 責任の明確化: 自分の年齢や判断能力を偽って契約を結んだ場合、その責任は制限行為能力者自身にあるとされています。

具体例

  • 未成年者が偽の身分証明書を使って成人として契約した場合:
    • この場合、未成年者は詐術を使ったため、契約を取り消すことはできません。

注意点

  • 詐術の程度: 軽い嘘や誤解だけでは、詐術にあたりません。相手を欺く意図のある積極的な行為が求められます。
  • 相対的な悪意: 相手方が制限行為能力者であることを知っていたり、疑うべき理由があったりする場合、相手方も責任を負う可能性があります。

まとめ

民法第21条は、制限行為能力者悪意を持って契約を結んだ場合、その契約を保護する規定です。
これは、取引の安全性を確保し、制限行為能力者に責任を持たせることを目的としています。

他の条文との関係

  • 民法第20条: 制限行為能力者が契約を取り消せる場合について定めています。
  • 民法第110条: 錯誤に基づく契約の取消しについて定めています。

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