民法第十五条 補助制度の開始に関する規定

民法第十五条 補助制度の開始に関する規定

第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。

条文の意味

民法第15条は、補助制度の開始に関する規定です。

補助制度とは、精神的な障害により、判断能力が完全ではないものの、日常生活を送る上での支障が比較的少ない人を保護するための制度です。

この条文は、補助開始の審判、つまり、家庭裁判所が特定の法律行為について補助人を付けることを決める手続きについて定めています。

もう少し詳しく説明すると、

  • 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者: 認知症や精神疾患など、何らかの精神的な障害があり、判断能力が完全にないわけではないが、特定の法律行為をする上では、他人の助けが必要な人を指します。
  • 補助開始の審判: 家庭裁判所が、この様な人のために補助人を定め、その人が行う特定の法律行為について、補助人の同意や代理が必要であると判断する手続きです。
  • ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない: 既に後見制度や保佐制度が適用されている人に対しては、補助制度は適用されません。

なぜこのような規定があるのか?

補助制度は、完全に判断能力を失っていない人に対して、必要最低限の保護を与えることを目的としています。

  • 本人の意思を尊重: 完全な後見制度のように、本人の意思を完全に無視するのではなく、本人の意思を尊重しつつ、必要な範囲で保護を行います。
  • 柔軟な対応: 保佐制度や後見制度に比べて、より柔軟な対応が可能です。

具体例

例えば、認知症が初期段階で、日常生活はほぼ一人で送ることができるものの、不動産の売買などの重要な契約を結ぶ際には判断が難しいという場合に、補助制度が利用されます。

まとめ

民法第15条は、補助制度の開始に関する規定であり、判断能力が不十分な人を保護するための重要な制度であることを示しています。

続きを見る