民法第十条 後見開始の審判の取消しについて

民法第十条 後見開始の審判の取消しについて

第十条 第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。

民法第十条の解説:後見開始の審判の取消しについて

民法第十条は、後見制度における重要な規定の一つです。
この条文は、後見開始の審判、つまり、ある人が判断能力が不十分であるとして後見人がつけられるという裁判所の決定が、どのような場合に取り消されるのかを定めています。

条文の意味を詳しく解説します

  • 後見開始の審判の取消し

    • 一度、後見人がつけられた人が、判断能力が回復し、自分で判断できるようになった場合、その状態は、後見が必要な状態(第七条に規定する原因)ではなくなります。
    • このような場合、家庭裁判所は、本人やその周囲の人からの請求に基づき、後見開始の審判を取り消すことができます。つまり、後見人を解任し、本人が再び自分で判断し、行動できるようになるということです。
  • 請求できる人

    • 本人:最も直接的な当事者として、自ら請求することができます。
    • 配偶者:配偶者も、本人のために請求することができます。
    • 四親等内の親族:祖父母、おじ・おば、いとこなど、血縁関係が近い親族も請求できます。
    • 後見人:後見人も、本人のために請求することができます。
    • 後見監督人:後見人の活動をチェックする後見監督人も、請求できます。
    • 検察官:社会全体の利益を守る立場から、検察官も請求することができます。
  • 請求の理由

    • 第七条に規定する原因が消滅したとき:つまり、判断能力が回復したときです。

なぜこの条文が必要なのか?

  • 本人の尊厳の保護
    • 判断能力が回復したのに、むやみに後見の状態が続けられることは、本人の尊厳を傷つけることになります。
  • 自立の促進
    • 本人が自分で判断し、生活できるようになることを促すため、必要なくなった後見は速やかに終了させる必要があります。

注意点

  • 判断能力の回復の証明
    • 判断能力が回復したことを証明するためには、医師の診断書などが必要になる場合があります。
  • 手続き
    • 後見開始の審判の取消しには、家庭裁判所への申立てなど、一定の手続きが必要です。

まとめ

民法第十条は、後見制度が、単に人を保護するだけでなく、本人の自立を支援することを目的としていることを示しています。
判断能力が回復した場合は、この条文に基づき、後見開始の審判を取り消す手続きを進めることができます。

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