民法第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない

民法第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない

民法第五条とは?

「第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」

この条文は、未成年者の法律行為について定めています。
つまり、18歳未満の未成年者が契約を結んだり、財産を処分したりするような法律行為を行うためには、原則として、親などの法定代理人の同意が必要だということです。

なぜ未成年者の法律行為に制限があるのか?

未成年者は、判断能力が十分に発達していないため、自分にとって不利な契約を結んでしまったり、財産を失ってしまう可能性があります。
そのため、法律では未成年者を保護するために、法定代理人の同意を必要とするというルールを設けているのです。

法定代理人とは?

法定代理人とは、通常はを指します。
親がいない場合や、親が未成年者のことを適切に養育できない場合は、家庭裁判所が選任する後見人が法定代理人となります。

未成年者の法律行為の例外

すべての法律行為が法定代理人の同意を必要とするわけではありません。
例外として、以下の場合などは、法定代理人の同意がなくても有効な場合があります。

  • 単に権利を得る法律行為: 例えば、贈与を受けるなど、自分に利益があるだけの行為は、法定代理人の同意がなくても有効です。
  • 日常生活に必要な範囲内の法律行為: 例えば、お菓子を買うなど、日常生活で通常行われる範囲内の行為は、法定代理人の同意がなくても有効とされることがあります。

未成年者がした契約を取り消せる場合

法定代理人の同意を得ずにした契約は、原則として、未成年者本人または法定代理人が取り消すことができます
これを未成年者取消権といいます。

未成年者契約の注意点

  • 契約相手: 事業者は、相手が未成年者であることを確認し、法定代理人の同意を得る必要があります。
  • 催告権: 事業者は、未成年者に対して、1か月以上の期間を定めてその行為を取り消すかどうか返事せよと催告することができます。
  • 時効: 未成年者取消権は、追認をすることができるようになった時から5年か、行為時から20年を経過した時に、消滅します。

未成年者は、まだ判断能力が十分でないため、法律行為を行う際には注意が必要です。
契約をする場合は、必ず法定代理人の同意を得るようにしましょう。
また、未成年者自身も、自分の行為がどのような法的効果をもたらすのかを理解しておくことが大切です。

2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

この条文は、民法第五条第一項で定められた「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」という規定に違反して行われた法律行為は、取り消すことができるということを意味しています。

なぜ取り消せるのか?

未成年者は、判断能力が十分でないため、法定代理人の同意を得ずに契約を結んでしまうことがあります。
しかし、そのような契約は、未成年者にとって不利な内容であったり、将来にわたって不利益をもたらす可能性があります。
そのため、法律では、未成年者やその法定代理人が、その契約を取り消すことができるという権利を与えているのです。

誰が取り消せるのか?

  • 未成年者本人: 未成年者自身が、まだ判断能力が十分でないことを理由に、契約を取り消すことができます。
  • 法定代理人: 親などの法定代理人は、未成年者のために、その契約を取り消すことができます。

取り消し方

契約を取り消すためには、相手方に対して、取消しの意思表示をする必要があります。
この意思表示は、書面で行うのが一般的です。

取り消しの効果

契約が取り消されると、その契約は最初から無効であったものとみなされます。
つまり、契約によって生じた権利義務は、すべて消滅します。

取り消しの期間

契約を取り消すことができる期間は、未成年者取消権と呼ばれ、法律で定められています。

注意点

  • 追認: 未成年者が成人になった後、その契約を承認する意思表示(追認)をすると、契約は有効になります。
  • 時効: 未成年者取消権は、一定期間行使しないと消滅します。
  • 相手方の損害賠償: 契約を取り消した場合、相手方に損害を与えた場合は、その損害を賠償する必要があります。

未成年者が法定代理人の同意を得ずに契約を結んだ場合、その契約は取り消すことができる可能性があります。
ただし、取り消しには一定の手続きや期間が定められていますので、専門家にご相談することをおすすめします。

民法第五条第三項とは?

「3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。」

この条文は、法定代理人が未成年者に財産の処分を許可した場合の例外的なルールを定めています。

なぜこの条項があるのか?

通常、未成年者は法定代理人の同意なしに財産を処分することはできませんが、この条項は、親が子供に経済的な自立を促したり、日常的なお金の使い方を学ばせたりするために設けられたものです。

具体例

  • お小遣い: 親がお子様に渡したお小遣いは、その範囲内で自由に使える財産とみなされます。
  • 通学定期券: 親が子供に通学のために定期券を買ってあげた場合、その定期券は通学の目的で使用することができます。

重要なポイント

  • 目的の範囲内: 未成年者は、法定代理人が定めた目的の範囲内でしか、財産を処分できません。
  • 目的を定めない場合: 法定代理人が目的を定めずに財産を処分を許した場合も、未成年者はその財産を自由に処分することができますが、その範囲は、その財産の性質や金額などを考慮して判断されます。

まとめ

民法第五条第三項は、未成年者の経済的な自立を促すために、法定代理人が財産の処分を許可した場合の例外的なルールを定めています。
しかし、未成年者は、まだ判断能力が十分でないため、この条項を悪用して、不当な行為を行わないように注意する必要があります。

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