落ちるとこまで落ちたとSNSを中心に多くが嘆き、怒っている 東京都知事選挙、「ほぼ裸」ポスターや立候補しない女性格闘家も、嘆く大人に「あたおか」と笑う小学生たち

落ちるとこまで落ちたとSNSを中心に多くが嘆き、怒っている 東京都知事選挙、「ほぼ裸」ポスターや立候補しない女性格闘家も、嘆く大人に「あたおか」と笑う小学生たち

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1: ゆううつちゃん 2024/06/23(日) 16:57:47.92 ID:??? TID:gundan
2024年東京都知事選挙で東京都選挙管理委員会が事前に用意した掲示板のポスターを貼るスペースは48人分。ところが過去最多の56人が立候補したため足りなくなってしまった。

56人全員が本気で当選を目指しているのであれば意義深い選挙となるだろうが、掲示板に並ぶポスターを見ると、そのような意識が希薄としか思えない候補者もいる。

人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が、選挙に寄せる人々の思いを聞いた。

* * *
「これがいまの東京なんですね」

都内の東京都知事選のポスター掲示板を前に、80代の女性は足を止めてつぶやいた。6月20日、ついに東京都知事選が告示された。立候補者は過去最多、56人。

掲示板スペースは48人分、もちろん1人1枚であっても足りない、前代未聞の選挙となった。

「おそろしい時代になったのですね」

彼女と筆者とはもう随分と長いお付き合い、彼女の人生――子どものころ空襲に遭った、女子大を出て教師になった、ずっとこの東京に生きて、昭和・平成・令和と生きてきた。

彼女が「おそろしい」と語るポスター掲示板、後ろで小学生たちがポスター掲示板を指して「あたおか」と笑っている。ネットスラングで使われる言葉、その意味はともかく、子供らに「あたおか」と笑われているのはポスター掲示板の大人たちだった。

「もうついていけません、なんだか悲しい」 彼女は力なく笑った。

「これも『平和』ということなのでしょうね、食うや食わずのお国とか、何でもかんでも捕まえて処刑するようなお国ではないから、こうした選挙ができるのでしょうね」

こうした選挙――ポスター掲示板の半分以上がわけのわからない、都知事選とおおよそ関係ないであろう文言が並び、掲示板の大半を敷き詰めた候補者らの所属する政党では寄付行為を通して枠を一般に販売している。

自分の写真でも可愛いペットの写真でも、営業目的など公職選挙法に定められた禁止事項以外はなんでもOKだ。女性格闘家は候補者でもないのに掲示板に大量に貼られたポスター上、ガッツポーズで笑っている。

他にも4月の衆議院議員東京15区補欠選挙で暴れまくった政治団体の代表も勾留中だが出馬する。別の候補者である元市議は「ほぼ全裸」の女性の写真を女性本人が貼るパフォーマンスで告示日当日、さっそく警視庁から警告を受けた。

お騒がせユーチューバーは都知事選に出ると言って撤回、供託金の300万円を返還してもらったが、結果的によい宣伝になったのではと報じられた。

「選挙で遊ぶな」「落ちるとこまで落ちた」とSNSを中心に多くが嘆き、怒っている。ちなみに政見放送は全員で11時間(!)を超える。

「私が覚えているのは1980年代くらいからですね、あのころ、たくさんの政党があって、政治と関係のない、よくわからないことばかりを言う人たちが政見放送に出ていました。今回ほどではありませんけど『おかしいな』と思った始まりのように思います」

この話、1980年代の国政選挙でUFO党、雑民党、人間党、年金党、老人福祉党、世直し党などの「ミニ政党」が跋扈した時代のことだ。

その主義主張はともかく、10代ながら筆者にも「やばい」と思わされてしまうような政見放送はあった。オウム真理教の真理党は1990年の衆院選で話題となったが、その結果と末路、悲劇は周知の事実だろう。

まさに「異様」としか表現できない今回の東京都知事選のポスター掲示板を二人で眺める、せっかくなので代わる代わる、いっしょに眺める方に話しかけてみる。

「こんな選挙は恥ずかしい、どうしてこうなったのか」(40代・会社員)

「選挙制度がおかしいし、時代にあってない、性善説じゃ無理」(50代・会社員)

「最近の国政だってそうじゃないか、いまの日本にお似合いだよ」(60代男性)

「日本人バカしかいない、面白すぎ。(観光の)外国人めちゃ笑ってた」(20代男性、学生)

「たった300万円で宣伝できるなら安いでしょう、プリウスより安い」(40代・経営者)

https://news.yahoo.co.jp/articles/324f9360848f4d3316f27992d1f762bdca0fdd89?page=1

2: ゆううつちゃん 2024/06/23(日) 16:58:17.61 ID:u5Kg1 TID:gundan
ちなみに「プリウスより安い」も確かに、と思う。新車のプリウスは一番安いグレードで約320万円(2024年6月時点)。

単純比較ならプリウスを買う金額で都内一円にポスターが掲示できて、NHKで政見放送ができて、選挙公報はもちろん各種媒体で扱われる。

代理店の広告マンに聞けば「都知事選の300万円は格安」と話す。契約期間や媒体力にもよるが全国紙なら2段1/2で300万円する。

全5段(いわゆる全面広告)だと1000万円を超える。テレビコマーシャルなら億だ。重ねるが媒体それぞれ、ケースバイケースとはいえ、この都知事選の供託金300万円が「自己宣伝」と考えれば格安なのはわかってもらえると思う。

まして「出馬」と騒いで告示前に取り下げればその金は返ってくる。

選挙ポスターをまるでクイズ番組『パネルクイズアタック25』や昔の電話ボックスにあったピンクチラシのように張り巡らした党の代表はこれらを「選挙フェス」と意気込む。

それを面白がる人もまたSNSには普通にいて、誰しも法を犯してはいない。かといって「選挙ポスターに無関係の人物を掲載するな」「選挙ポスターを使って寄付名目で出演料をとって稼ぐな」「ほぼ裸で載るな」と細々と規制するのも「普通しない」からしなかっただけの話であり、それこそアメリカの「猫を電子レンジで乾かさないでください」とか「チェーンソーを素手でとめないでください」を都知事選で実行されてしまった、ある意味「性善説の限界」というか「知性の限界」と言っても差し支えないだろう。

〈国民が政治を嘲笑している限りは、その嘲笑に値する政治しか行なわれないし、国民はその程度に応じた政府しかもちえない〉

松下幸之助の言葉だが、国民を「都民」、政府を「都政」に替えてもいいだろう。「俺は違う」「一緒にするな」は個人の勝手だが、筆者自身はそう思わない。

この東京都知事選のポスター掲示板を都民として恥ずかしく思うし、やり場のない怒りもこみ上げてくる、と同時にどうにもできない自分の力のなさに情けなくも思う。

ネット上では「都知事選掲示板ジャックに反対します」とする有志による批判運動と署名も展開されている。すでに2万8千人(6月21日時点)が賛同した。

個人で面白がる分には構わない、ネットでネタとして楽しむのも自由だ。それでもこうした流れにどこかで「それはおかしい」と声を上げなければ、失われた三十年は四十年どころか五十年、ずっと続くことになる。

東京都知事選のポスター掲示板の有り様──これは都民の、いや私たち日本人の危機である。その端緒である。

大げさでなく私たちが本当の意味で苦しむことになるであろう、恐ろしい時代に向かう、その象徴になりかねない「恐ろしい」有り様である。

日野百草(ひの・ひゃくそう)/日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経て、社会問題や社会倫理のルポルタージュを手掛ける。


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