楽天戦力外となった西川遥輝が1軍未経験の辰見鴻之介に選手に残した最後の贈り物

楽天戦力外となった西川遥輝が1軍未経験の辰見鴻之介に選手に残した最後の贈り物

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今はまだ野球ファンの間ではなじみのない選手だが、楽天の次世代を担えそうな“スピードスター”候補がいる。名前は辰見鴻之介内野手(22)。西南学院大から22年育成ドラフト1位で入団し、1年目の今季はイースタンで96試合に出場。打率2割5分1厘、0本塁打、10打点、チームトップの17盗塁をマークした韋駄天(いだてん)で、50メートルを5秒7で駆け抜ける脚力に秀でている。

己を奮い立たせてくれる原動力が、今季限りで退団が決まった西川から譲り受けたアイテムたち。練習では「Haruking 6」と金色の刺しゅうが施されたスパイクでグラウンドを駆け巡っている。

支度金300万円、年俸250万円でプロの世界に飛び込んだ。球団から最初に支給されたスパイクは2足だけ。日々の練習や試合で自然と傷んでいた。 
ある日、2軍のロッカールームで盗塁王4度を誇るスターから「これちょっと使ってみて」と、さりげなく自身の相棒を差し出された。「サイズもピッタリでめちゃくちゃよかった。僕はスポンサーもついていないから『買うとしたら全部自腹になる』と言ったら、その後に3足もくださった。打撃用の手袋ももらいました」。シーズン途中に支配下登録を勝ち取ったが、当然ながら稼ぎは少ない。全てを理解した先輩の心遣いに胸を打たれた。
10月末。

フェニックス・リーグが行われた宮崎から帰仙すると、ロッカーにスパイクがいっぱい詰め込まれた段ボール箱が置かれてあった。西川だった。すぐにお礼の連絡を入れると、「頑張ろうね。わからないことあったら、いつでも聞いてきてね」と激励された。来季の所属先も決まっていない状況にも関わらず、これからチームの戦力になる若者に対する思いやり。22歳の目頭は熱くなった。
連絡した最後に大好きな先輩に力強くこう言った。 
「遥輝さんの手袋をつけて、スパイクを履いて1軍で出られるように頑張ります!」
 2年目の来季こそ1軍デビューを果たす。熱き誓いを胸に―。(長井 毅)

https://hochi.news/articles/20231110-OHT1T51181.html

 
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