民法第百六十四条 (占有の中止等による取得時効の中断)
民法第百六十四条 (占有の中止等による取得時効の中断)
第百六十四条 第百六十二条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。
民法第164条の解説:取得時効の中断
条文の意味
民法第164条は、取得時効が中断される場合について定めています。
簡単に言うと、取得時効が完成しようとしている最中に、占有が中断された場合、時効の経過がリセットされるということです。
占有の中断とは、占有者が自ら占有をやめてしまう(任意の中止)か、他人によって占有を奪われる(他人の侵害)かのいずれかの状態を指します。
なぜ中断されるのか?
取得時効は、長期間にわたって平穏に、かつ公然と占有することで所有権を取得できる制度です。
そのため、占有が中断されると、その期間中の占有は、平穏かつ公然とした占有とは認められなくなります。
取得時効の中断の意義
取得時効の中断は、真の所有者の権利保護に繋がります。
例えば、土地の所有者が、知らない間に他人に土地を占有されていたとします。
この場合、占有者が20年間その土地を占有すれば、取得時効によってその土地の所有権を取得してしまう可能性があります。
しかし、真の所有者が占有を回復したり、占有者に立ち退きを求めるなどして占有を中断させることで、取得時効の進行を止めることができます。
具体的な例
- 任意の中止: 土地を占有していた人が、他の土地に移転して、その土地の占有をやめた場合。
- 他人の侵害: 土地を占有していた人が、他の誰かに土地を奪われた場合。
まとめ
民法第164条は、取得時効が完成するのを防ぐための重要な規定です。
取得時効を主張しようとする人も、取得時効を阻止しようとする人も、この条文の内容を理解しておくことが重要です。