民法第百二十八条 (条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)
民法第百二十八条 (条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)
民法第128条「条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止」について
条文の意味
民法第128条は、条件付法律行為において、条件がまだ確定していない間は、その法律行為によって将来得られるであろう相手方の利益を故意に害してはならないということを定めています。
簡単に言うと、ある条件が満たされた時に初めて効果が生じる契約など(条件付法律行為)を結んだ場合、その条件がまだ満たされるかどうかわからない間は、その契約が有効になったときに得られるであろう相手方の利益を故意に損なうような行為をしてはいけないということです。
なぜこの条文が必要なのか?
- 契約の安定性: 条件付法律行為は、将来の出来事を前提として結ばれるため、その間に一方の当事者が故意に契約の目的となるものを毀損したり、履行を妨げたりすると、契約全体の安定性が損なわれます。
- 公平性の確保: 条件が成就した場合に得られる利益は、契約の当事者双方にとって重要なものです。この条文は、一方的な利益を損なうことを防ぎ、契約関係の公平性を確保することを目的としています。
具体的な例
- 不動産売買契約: AさんがBさんに「来年1月に家が完成したら売る」という条件付きで不動産の売買契約を結んだとします。この場合、Bさんは、家が完成するまでの間、Aさんがその不動産を故意に破損したり、売却したりすることを防ぐことができます。
- 贈与契約: CさんがDさんに「大学に合格したら、100万円を贈る」という条件付きで贈与の約束をしたとします。この場合、Dさんは、Cさんが大学に合格する前に、その100万円を浪費したり、他の者に与えたりすることを防ぐことができます。
条文違反の場合
もし、この条文に違反した場合、条件が成就した後に、損害賠償請求などの責任を負う可能性があります。
まとめ
民法第128条は、条件付法律行為における当事者の間の公平な関係を維持するために、条件が成就するまでの間、相手方の利益を保護する重要な規定です。