民法十三条第3項
民法十三条第3項
保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる
民法13条第3項の解説
この条項は、保佐人の同意が得られない場合に、被保佐人自身が家庭裁判所に申し立てて、その行為の許可を得られるという、被保佐人の権利を保障する重要な規定です。
条文の意味
もう少し詳しく説明すると、
- 保佐人の同意を得なければならない行為: 民法13条1項または2項で定められた、保佐人の同意が必要な行為を指します。
- 保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず: 保佐人が同意を拒否する理由が、被保佐人の利益のためではなく、個人的な感情や都合によるものである場合を指します。
- 家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる: 被保佐人が家庭裁判所に申し立てれば、裁判所は、その行為が被保佐人の利益に合致すると判断した場合、保佐人の同意なしにその行為を許可することができます。
なぜこのような規定があるのか?
この規定があるのは、被保佐人の権利を保護するためです。
保佐人であっても、必ずしも被保佐人の最善の利益を判断できるとは限りません。
そのため、被保佐人自身が自分の意思で生活したいという要望を尊重し、その権利を行使できるようにするための制度です。
具体例
例えば、被保佐人が、自分の趣味である絵画教室に通いたいと希望した場合、保佐人が「費用がかかるから」という理由で同意を拒否したとします。
しかし、その絵画教室に通うことが、被保佐人の精神的な安定につながるということが認められれば、被保佐人自身が家庭裁判所に申し立て、許可を得ることができる可能性があります。
注意点
- 被保佐人の利益: 家庭裁判所は、常に被保佐人の利益を最優先して判断します。
- 証拠: 被保佐人は、自分の請求が正当であることを証明するための証拠を準備する必要があります。
- 専門家の意見: 弁護士や司法書士などの専門家のアドバイスを受けることが、有利に事を運ぶために重要です。
まとめ
民法13条第3項は、保佐制度において、被保佐人の自己決定権を保障する重要な規定です。
この条項があることで、被保佐人は、より主体的に生活を送ることができるようになります。